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この町のわたしのスキなひと(葛西)
葛西おしゃらく保存会 会長 吉田勝人さん

葛西おしゃらく保存会 会長 吉田勝人さん

Photo/Saori Kojima
Text/Ayako Futatsuya

 三味線の音色とのびやかな唄に合わせて踊る、和服を着た女性たち。裾は帯のところまで高くたくし上げられ、長襦袢の華やかな柄がのぞいています。踊り念仏が起源とされる民俗芸能「おしゃらく」の始まりは、江戸時代にまでさかのぼります。この地域のおしゃらくを今日まで守ってきたのは、「葛西おしゃらく保存会」の皆さん。今年創立50周年を迎え、10月には記念公演の開催を予定しています。「やっぱり感慨深いものがありますね。明治生まれの師匠連中に顔向けできます」と、会長の吉田勝人さんは胸をなでおろします。

葛西おしゃらく保存会 会長 吉田勝人さん特集

 生まれは芝・三田、育ちは深川。根っからの江戸っ子の吉田さんは、子供の頃に実家が営む料理店お抱えの辰巳芸者さんを見て、三味線に興味を持ちました。「お姐さん方が湯屋に行っている隙に、こっそり弾いていたんですよ(笑)。でもそれがある日バレてしまって、ものすごく怒られましたね」。そして、長唄をやっていた伯父に世話をしてもらい、邦楽の世界へ。のちに藤本流初代家元である藤本琇丈(ひでお)先生のもとへ内弟子に入りました。

葛西おしゃらく保存会 会長 吉田勝人さん特集

「家元が、手拍子の民謡に三味線で伴奏を見事に付けるのを見ていて、おふくろの里の葛西にもおしゃらくっていうのがあったなと思い出したんです」。しかし、伯母に聞けば「もうやっていないの」と風前のともしび。「それじゃあ困るからと、伯母を軽自動車に乗せて、葛西じゅうを回っておしゃらくをやっていた人に声をかけたんですよ」と振り返ります。当時吉田さんはまだ20代、昭和42年のことでした。そして45年に保存会を結成、48年には東京都の無形民俗文化財の指定を受けました。

葛西おしゃらく保存会 会長 吉田勝人さん特集

 おしゃらくの魅力を聞いてみると「土地の臭いがぷんぷんするの。このあたりは交通の便も悪かったから、都会の文化を取り入れなかったというより、取り入れられなかったんだと思う。だからおしゃらくも残っていたんだろうね」と語る吉田さん。形のないものを残していくために、地道な努力を重ねてきました。「ただ、昔のまんま残せばいいってわけでもないんです。中身は変えてませんが、脚色して変えていかないと、絶対残せないですよ」

地元の人に見てもらいたいと、公演に向けての稽古もいよいよ大詰め。「僕はこれに一生をかけてきた。どうしても後世に残したいと思ったんです」。強い使命感を持ち続けた吉田さんの生き様は、最高におしゃれです。

葛西おしゃらく保存会 会長 吉田勝人さん

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Data

葛西おしゃらく保存会
住所 〒134-0084 東京都江戸川区東葛西4-44-10MAP

活動場所/東葛西雷会館