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いせや呉服店 佐野雅邦さん

いせや呉服店 佐野雅邦さん

Photo/Saori Kojima
Text/Ayako Futatsuya

 日本人にはなじみがありながら、同時に多くの人にとってはどこかちょっと遠い存在でもある「着物」には、不思議な力がある気がしませんか。着物を着た人が町を歩けばつい目を奪われ、自分が着れば自然と背筋がスッと伸びるような…。「着物で心が変わるんです」とその魅力を言い表すのは、「いせや呉服店」の三代目を務める佐野雅邦さん。一之江駅から北西へ延びる今井街道沿いの商店街で大正時代に創業し、来年100年を迎える老舗です。

 佐野さんが着物の道を歩み始めたのは大学を卒業してからでした。まずは4年間、長野の呉服屋に修行へ。「途中で辞めてしまう人もいるほどすごく厳しかったんですが、今となってはおもしろかったと思えますよ」と当時を振り返って笑います。そこで学んだのは、着物の知識と人間関係の大切さ。いせやへ戻った後は修業先で身につけたことを活かしながらお店に立ち、数年後には代表を継ぐことになりました。

いせや呉服店 佐野雅邦さん特集

「着物の“き”の字も知らずにこの世界に入りました。着たこともなければ、興味もなかったです」という佐野さんですが、その感覚の違いを逆手にとって経営手腕を発揮。お店に写真スタジオを併設したり、英会話教室の運営を始めたほか、着物イベントや着付け教室を開くなど、柔軟な発想でビジネスの幅を広げていきました。

 高く感じる着物へのハードルを少しでも低く。それが佐野さんの願いです。「着物を着る機会の選択肢って少ないですよね。特別なときだけじゃなくて、映画や観劇のときなどもっとカジュアルな場面で着てもいいと思うんです」。3月には着物でレストランへ行くイベントも開催予定で、着物をより身近な存在にするためのアイデアは次々と出てきます。「やってみたいのは、“ バレンタインデーに着物”。着物を着て来られたら断れないじゃないですか」と、楽しそうにいたずらっぽい笑顔を見せます。

いせや呉服店 佐野雅邦さん特集

 江戸川区で生まれ育った佐野さん。「近所とのかかわりが深くて、人情あふれる温かい町。私は好きですね」。ただ、優しくも凛とした佐野さんの瞳に映っているのは、慣れ親しんだ江戸川区だけではありません。先日、本八幡に新店舗をオープンし、今後は都心にも拠点を構えて着物を着る機会をもっと増やしたいと言います。憧れだった着物が気軽に楽しめる日常まであと少し。そんな予感がします。

※記事内容は2018年1月時点のものです

いせや呉服店 佐野雅邦さん

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Data

いせや呉服店
いせや呉服店
住所 〒132-0025 東京都江戸川区松江MAP
電話 03-3653-6331
営業時間 10:00~19:00
定休日 火曜